2008年度 山形県予算要望
2007年12月19日
山形県知事 齋藤 弘 様
日本共産党山形県委員会
県委員長 後藤 太刀味
日本共産党山形県議団
団 長 笹山 一夫
副団長 渡辺ゆり子
はじめに
県政運営における毎日のご努力に敬意を表します。
日本共産党山形県委員会・日本共産党山形県議団は2008年度の山形県予編成にあたり、原油高騰とあらゆる分野で格差が進行し生活苦が深まる下で県民の生活を守り社会保障の充実を図ることを基本に2008年度県予算編成を行なうことを求めるものです。
7月に行われた参議院選挙は、自公政権が進めた「構造改革」政治の下で進んだ貧困と格差の広がりに、国民がノーの声をあげた歴史的な選挙となりました。
しかしその後も、原油高によるガソリン、灯油の値上がりをはじめとした生活と営業の各分野に及ぶ物価高騰、コメ価格の暴落は県民各層に重大な影響が広がっています。また来年4月から導入が予定されている後期高齢者医療制度による新たな負担増と医療の切捨て、2009年を焦点に計画されている消費税増税、自衛隊の海外派兵を継続する新テロ特措法案の強行の動きなど県民の暮らしを守り、平和を脅かす政治に対する新たな不安と怒りが増大しています。
いま、県政に求められていることは、このような県民生活の各分野に広がる不安と怒りにこたえ、国政への働きかけを強めると同時に、県政としてできうる最大限の努力を行うことです。
このようなわが党の基本的な考え方にたって、来年度の県政運営と県予算編成にあたって次に掲げる要望を申し入れます。
重点要望
【原油価格の高騰】
ガソリン・灯油等の価格高騰対策をとるよう国に要望すること。県として生活弱者や高齢者に「福祉灯油」など緊急対策、農家、業者への支援を強めるために調査と対策をとる体制を強めること。
【子育て支援】
乳幼児医療給付事業の所得制限を撤廃し、小学生にまで拡充すること。
【教育】
私学助成一般補助金を増額すること。県補助単価を引き上げること。
【医療・福祉】
後期高齢者医療制度の撤回・中止を国に働きかけること。
【農業】
すべての品目に価格保障を基本に所得補償も組み合わせた制度を国に要望すること。米価が生産費を下まわれば、差額を補てんする制度を国に要望し、県としても検討すること。
【地方自治】
新合併特例法にもとづいた市町村合併を誘導・強制しないこと。合併しない市町村の地域と町づくりに対し財政的支援を行なうこと。
【県財政】
県研究開発事業(慶応大学先端研・有機EL)事業の見直しを行なうこと。LST基金を一般会計に戻すこと。
最上小国川ダム事業を中止すること。赤倉温泉地域の治水対策は、ダムによらない治水対策を推進すること。
【消費税増税】
消費税大増税に反対し、政府に増税中止を求めること。
【新テロ特措法案】
憲法違反の海外派兵を継続する新テロ特措法案の強行を行わないよう表明すること。
部局別要望
総務部
- ガソリン・灯油等の価格高騰対策をとるよう国に要望すること。県として生活弱者や高齢者に「福祉灯油」など緊急対策、農家、業者への支援を強めるために調査と対策をとる体制を強めること。
- 地方交付税制度の財政保障・調整機能の拡充を国に要望するとともに、県財政の健全化にあたっては、県民生活にしわ寄せしないこと。
- 県研究開発事業(慶応大学先端研・有機EL)事業の見直しを行なうこと。LST基金を一般会計に戻すこと。
- 新合併特例法にもとづいた市町村合併を誘導・強制しないこと。合併しない市町村の地域と町づくりに対し財政的支援を行なうこと。行政改革の名による「公共業務の民間化」にあたり、県の公的責任を明確にすること。
- 憲法を県政に生かすため全力をあげること。とりわけ9条を守ることの大切さを表明すること。
- BSEの全頭検査を継続すること。
- 地方財政を圧迫する大企業優遇税制の撤廃を国に働きかけること。
- 県の事務・権限委譲においては、市町村・住民と十分な協議を行い、必要な財政措置を講ずること。
- 県職員の定年前退職勧奨をやめること。県幹部職員の公社や外郭団体、関連業界への天下りをやめること。
- 震災想定した集落ごとの輸送の確保など対策をつよめること。
- 「山形県非核平和宣言」を行い、憲法9条を守り非核世論を広げる運動を全国に発信できる県政にすること。
- 「県国民保護計画」による県民啓発活動や有事想定訓練を行わないこと。また、関連予算を計上しないこと。現職退職を問わず自衛官を採用しないこと。
文化環境部
- 慶応大学先端研事業の見直しを行なうこと。
- ごみ有料化導入を市町村に押しつけないこと。
- 「緑環境税」は撤回し、林業振興と森林づくりの施策を拡充すること。
- 妊娠・出産にかかわる支援、女性専用の外来の開設・運営への助成と条件整備、保健所での女性専用の窓口の開設など総合的な対策をすすめること。
- 配偶者間暴力をなくすため被害者の保護・自立支援の充実、支援センター増設と相談員の増員、民間シェルター助成、加害者更正対策の確立強化をすすめること。
- 合併浄化槽の県単嵩上げ補助を復活させること。
- 舞台芸術、音楽、公設練習場の整備を進めること。
- 各種審議会等の女性委員の構成比率を増やすこと。委員の公募制を促進すること。
健康福祉部
- 乳幼児医療助成制度の所得制限を撤廃し、小学6年生まで拡充すること。
- 妊婦健診において、5回以上公費助成されるよう推進を図ること。
- 認可外保育所においては、事故の原因・究明と再発防止に全力をあげるとともに、運営費助成の拡充を行なうこと。
- 後期高齢者医療制度の撤回・中止を国に働きかけること。
- 自治体病院の医師不足解消、地域間格差の解消、特に県内で不足している産科・小児科医の確保のために、医療供給体制を充実すること。県立河北・新庄病院の充実を図ること。
- 介護保険の改善を国に働きかけること。
- 「社会福祉・老人保健施設整備利子補助金」は05年ベースに復活させること。
- 国保税を引き下げ、減免制度を拡充するために市町村の国保に県独自の財政支援を行なうこと。
- 資格証明書の発行をしないように市町村を指導すること。
- 介護者激励金制度を復活すること。
- 生活保護の国庫補助率を引き下げないよう国に求めること。県の財政支援を充実させること。保護申請書を窓口に置くよう各市町村に指導すること。
- 小規模作業所や小規模通所施設の予算を確保し充実をはかること。
- 介護情報サービス手数料を引き下げること。
- 県単独の在宅酸素療法補助を創設すること。命にかかわる深刻な受診抑制をなくすこと。
- 県単医療制度の所得制限・入院時食事負担を撤廃すること。
- 障害者自立支援法による1割負担の軽減策を講ずること。
- 保育所の定員オーバー、保育所の待機児童の解消を計画的にすすめること。共働きの父母のニーズにあった保育内容の充実、学童保育の充実をはかること。
- 児童扶養手当、就労支援の充実など母子家庭の支援を強めること。
- 自殺対策要綱の策定で自殺の原因を究明するとともに、必要な対策・予算措置を講ずること。
- 児童福祉司の増員をはかること。児童相談所、児童養護施設、里親、児童自立支援施設、医療の充実をはかること。
商工労働観光部
- 企業に対し正規雇用を増やすことを求めるとともに、若者就職支援センターの機能充実・強化を行うこと。
- すべての若者に、労働者の権利と雇用主の義務を知らせる冊子の作成や広報を行うこと。また、高校生が労働基本権の学習をできるようにすること。
- 有機EL事業の見直しを行なうこと。また、LST基金を一般会計に戻すこと。
- 大型店が一定地域に集積することを規制すること。
- 若年退職強要を一掃するため、県の実態調査を進め、関係機関とともに根絶の取り組みを強めること。
- 商店街の活性化に向け商店街のインフラ費用・維持費、商店街組織の事務所家賃や人件費、空き店舗の借り上げ費用など助成を強めること。
- 企業立地促進補助金等については、地元常用雇用者枠を増やすこと。
- 職業訓練施設に対する補助金を増額し、雇用保険適用外の県民に職業訓練を保障すること。有給の職業訓練制度、訓練貸付制度を創設・整備すること。
- 若者向けの公共・公営住宅の建設や家賃補助制度、生活資金貸与、失業中や求職中の保育園入所など経済的自立への援助をすすめること。
- 商工団体運営費補助金の削減を行なわないこと。
- 新たに県産を品購入した病院・福祉施設に奨励金制度を導入すること。
- 有機ELの共同研究参加企業を公表すること。
農林水産部
- すべての品目に価格保障を基本に所得補償も組み合わせた制度を国に要望すること。当面、米では過去3年間の生産費平均を基準にして米価が下まわれば、差額を補てんする制度を国に要望し、県としても検討すること。
- BSEの全頭検査を国に働きかけるとともに、県でも継続すること。
- 在庫が積み上がっているミニマム・アクセス米を飼料用に振り向けることや海外援助などによって在庫を一掃することを国に要望すること。
- 輸入米を主食用として販売することを中止することを国に要望すること。
- くず米を混入して主食用米として安値で販売することが不可能になる対策をとること。
- 農村維持の観点から地産地消の推進、地場産業の振興など兼業農家の就労先を確保すること。
- ポジティブリスト導入による飛散防除対策として農薬防護ネット補助を創設すること。
- 農林漁業における原油高騰対策として、助成・貸付を創設すること。
土木部
- 最上小国川ダム事業を中止すること。赤倉地域の治水対策は、ダムによらない治水対策を推進すること。
- 民間住宅の耐震調査の援助と耐震対策を含む住宅リフォーム助成制度を新規に創設すること。
- 下請け二法(下請中小企業振興法及び下請代金支払遅延等防止法)の周知徹底など、公共事業における下請け代金未払い、下請け単価の切り下げなどの下請けいじめを根絶すること。工事請負契約を書類でかわすことを徹底指導すること。元請下請関係適正化事業の調査を充実すること。
- 「小規模修繕契約登録制度」を県で実施すること。
- 公立学校施設の耐震化を促進するため、補助制度を創設すること。
- 個人住宅や宅地・よう壁・塀などの耐震調査を進めやすいように援助し、県独自の助成制度をつくり耐震化をすすめること。
- 県営住宅の戸数を増やすこと。
- 入札制度をさらに改善して、談合による落札価格つり上げを許さない体制をつくること。
- 急傾斜地域・河川維持管理予算を確保すること。
教育庁
- 私学助成一般補助金を増額すること。県補助単価を引き上げること。
- 学力テストの実施にあたっては市町村の自主性を尊重すること。県は結果について集計や公表を行わないこと。
- 中学校の全学年に少人数学級を実施すること。教員配置は正規雇用を原則とすること。
- いじめ対策を強めるために、県独自の予算で教職員の増員に努めること。学校カウンセラーを各校に配置すること。
- 少人数学級実施に当たって、従来の「担外」も担任に当てられているが、余裕のある教職員の配置となるよう増員を行なうこと。
- 高校再編計画は、住民の意見を十分尊重すること。
- 障害者雇用の法定雇用率を遵守すること。
- 特別支援教育の予算と人的配置を確保すること。
- 競争と管理の教育から、子どもの発達と成長を中心にすえた教育をすすめ、すべての子どもの基礎学力を保障し、人間形成を助ける学校づくりを進めること。
- 長時間労働と管理統制の強化による教員の困難を解決するため、教員が専門家としての力量を発揮・向上できる環境を整備すること。勤務、研修、問題をかかえた教員の改善など公正なルールを確立すること。
- 公立学校施設の耐震化を促進するため、補助制度を創設すること。また、避難所として指定されている学校の体育館や公民館などの耐震調査と改築を急ぐこと。
- 体育・スポーツ活動充実のため、施設整備をはかり、子どものスポーツ活動や部活動にたずさわる指導員やボランティアを充実すること。
- 市町村就学援助の状況を把握すること。
- 高校の授業料の引き下げを行うこと。また、減免制度の拡充を行うこと。
警察本部
- 警察行政を透明にするため外部監察制度を導入すること。
病院局
- 後発薬価の採択を促進すること。