2017年 山形県議会2月定例会について

2017年3月16日

日本共産党山形県議団
団長 渡辺ゆり子
関  徹

 昨日、2017年度当初予算案・関連条例等が可決・成立しました。
 全会一致の可決ですが、当然、各会派・議員それぞれに異なった立場からの対応です。 
 全員賛成の場合は討論をおこなうことができないというルールの中でも、会派として県民に対する責任を果たす立場から、当局提案の議案、議会発議の意見書などに関する見解を表明します。

1)2016年度補正予算、2017年度予算と関連する条例は、「県民の命と暮らしを守ることを最優先」とする吉村県政の姿勢を様々な事業に具体化を図ったものとして全体として評価し、賛成しました。
 放課後児童クラブ多子世帯・低所得世帯に対する利用料軽減、非正規雇用労働者の正社員化・所得向上を総合的に支援する事業、中小企業スーパートータルサポート補助金の創設等による中小企業支援、私立高等学校等授業料軽減(継続)などは、全国的にみても先進的なものであり、大きな意義を持つ事業と受け止めています。 
 特に、「非正規雇用労働者・・」について知事は、「富裕層と貧困層との二極化がどんどん進んでいきますと、これは、社会として望ましくない」「正社員化して収入を上げる、・・時間契約というような社員の方もですね、同一労働・同一賃金・・にする・・所得向上につなげていきたい」「中央に対して提言、もっと強く大きな形でやっていかないと、ということを申し上げていきたい」等、縷々述べています(2月15日臨時記者会見)。
 日本社会が解決すべき最重要課題の一つについて、県として全力を挙げて取り組むとともに、今日の事態に重い責任を負う国に強く働きかけていく姿勢には評価を惜しみません。
 この他、ひとり親家庭移住支援・資格取得応援プロジェクト、看護職員・保育士・介護職員の修学資金貸付、マザーズジョブサポート庄内の設置・運営、若い世代の新婚新生活を後押しする住居費等の経済的支援、農林水産業の生産額と所得を引き上げることを掲げた諸施策の推進、小規模小学校支援等も、知事の姿勢に沿った積極的な事業として挙げることができます。 
 2016年度補正予算で、福祉灯油が引き続き実施されたことも評価しています。
 また、河川の流下能力向上のための堆積土や支障木対策の実施と効率的な維持管理に向けた検討は、河川管理として当然の事業ですが、党県議団が提起してきた「ダムに依らない治水」の重要性を示すものであり一層の推進を求めます。

2)いくつか懸念する点も指摘しておきます。
 吉村知事は、自民党の代表質問に対する答弁で、参議院選挙制度に関わって憲法改正を求める考えを示しました。
 参議院選挙区の合区は大きな問題ですが、「比例代表中心の制度」とする日本共産党の提案を始めとして、現行憲法の下で解決する合理的な提案が示されています。
 日本が直面している課題の解決の上では、憲法改正は必要性の無いものであり、改憲の議論は自公とその補完勢力など九条を始めとした平和的・民主的条項の改悪を狙う勢力に主導されたものとなっています。
 知事には、こうした主張に組みする事にならないよう、憲法のすべての条項の遵守の姿勢を内外に示すこと、憲法の理念を具体化する施策に引き続き力を尽くすことを求めます。
 奥羽・羽越新幹線整備事業では、並行在来線の存廃、建設費用とその負担、環境への影響、既存交通インフラとの関係など様々な課題について、県民に情報を提供しながら検討する必要があります。
 そうしたことを脇に置いて、ひたすら「整備実現」を国に求め、「機運醸成」を図ろうとすることは適切ではないと考えます。
 地域包括ケアシステム構築推進事業が計画されています。政府が介護保険の給付削減を歯止め無く進めようとしている中で、制度改悪の影響を利用者・家族の立場で見極めながら、困難ではあっても必要なサービスを確保するための努力が求められています。
 病院機能分化連携推進事業など地域医療構想の実現に向けた事業も計画されています。
 疾病構造の変化などに対応した適切な医療の在り方の検討は必要なものですが、本県の実情、地域ごとの実情等の分析の上に立った検討が必要であり、厚労省が示す全国一律の「係数」による構想には疑問を抱かざるを得ません。
 入院医療機能など削減・縮小が先行する、「地域医療構想推進」であってはならず、住まい・生活支援も含む包括的な地域医療・介護体制の確立を総合的に推進することが、切実な課題としていよいよ求められています。
 教育では、県学力等調査の実施など、学力向上対策の強化への強い志向が示されています。
 全国学力・学習状況調査などの限られた内容のテストで学力を測り、競争によって学力を引き上げようとする文科省の思想に追随するのではなく、教育条件の整備等で、真に「社会を生き抜く基盤となる確かな学力の育成」を図ることを求めます。
 探究型学習、英語教育の強化なども同様の姿勢が必要です。 
 エネルギー政策推進プログラム中間見直しでは、地域経済に利益が還元され、地域振興に繋がる、住民・地元企業主体の事業の推進に主眼が置かれることを求めます。
 再生可能エネルギー事業によって、環境破壊など県民に不利益がもたらされることを防止するための規制の必要性もいよいよ浮き彫りになっています。
 最上小国川流水型ダム整備事業には、環境の面からも、ダムに依らない治水対策が適切である面からも賛成できません。

3)終わりに
 安倍政権が憲法九条を始めとして立憲主義を蹂躙、格差と貧困を拡大する新自由主義的政策を強行する下で、県民生活は大変厳しい状況におかれ、県内各地の地域振興の取り組みも苦闘の最中にあります。
 そうした中にあって、「県民と心の通い合う温かい県政」を掲げ、格差と貧困の拡大と戦おうとする知事の姿勢は、多くの県民の気持に沿うものと言えます。 
 日本共産党県議団は、吉村県政の「県民の命と暮らしを守る」施策が、今年度引き続き発展していくことを目指して、チェック機能と政策提言の役割を果たすために全力を挙げる決意です。
 なお、議会発議の意見書及び政策提言は、奥羽・羽越新幹線の問題に賛成することができないことから、退席等の対応を採ることを付言します。(一括議題とされたため、全部退席) 

以上