2017年 国民健康保険の都道府県単位化に関する申し入れ~高すぎる保険税(料)の引き下げなどを求める提言~
2017年10月2日
山形県知事 吉村美栄子 様
日本共産党山形県議団
県議会議員 渡辺ゆり子
県議会議員 関 徹
県民のいのちと暮らしを守る県政への尽力に敬意を表します。
来年度から実施されようとしている国民健康保険制度の都道府県化は、2015年に安倍晋三政権が強行した「医療保険改悪法」の柱の一つで、1961年開始の国保の歴史の中でかつてない大改変といわれています。新制度でも、市町村が保険税(料)を決めたり徴収は現在と変わりませんが、都道府県が財政管理、運営方針策定を行うことになるため、その責任は極めて大きいものがあります。
すでに県民から、国保は「保険料が高く、払おうと思ってもなかなか払えない」などの保険税(料)負担は重すぎるとの声が、多くの方から寄せられています。市町村では独自に繰り入れを行い保険税(料)の引き下げにつなげているところもありますが、それでも、国保は、低所得者や高齢者が多く、医療水準が高いという構造的な問題を抱えているため、県民の苦しみはなかなか解消されず、さらに都道府県単位化で「保険料は今後どうなるのだろうか」との懸念の声が出始めています。
国は新制度で総額3400億円の公費を投入予定ですが、全国知事会の「協会けんぽ並みの保険料負担率までに引き下げるには約1兆円必要」との発言にあるように、国費3400億円投入では苦しみの解消には至らないのではないでしょうか。
一方、山形県では、平成29 年度第2回山形県国民健康保険運営協議会が開催され、国民健康保険運営方針(案)が公表されました。同方針案では、法で禁止されていない繰入を市町村が解消すべき赤字とし、市町村に解消計画を策定させ、県に報告を求めています。これでは市町村の自主性を阻害し、法にある「共同運営」になじまないではないでしょうか。また、新たに国から公費投入されても、その分の独自繰入が解消されれば、高い保険料の引き下げにつながず、さらには、今後の繰り入れ抑制にもつながりかねません。市町村の自主性を尊重すべきです。
以上の趣旨から国民健康保険料の引き下げを求め以下の提案を行います。
- 国に更なる公費投入を求めること。また、地方単独医療に伴う国庫負担減額措置廃止を求めること。
- 県としても、地方単独医療助成に伴う国庫負担減額措置分などをはじめ、国保会計に法定外繰り入れを行うこと。
- 市町村が行う一般会計法定外繰り入れを認めること。また、国保運営方針(案)にある「赤字解消・削減の取り組み」「標準保険料」「保険料徴収方法の3方式を目指す」の項目は、強制をせず、市町村の自主性を尊重したものとすること。
- 子どもに係る保険料(均等割り)の軽減・廃止を国に要望するとともに、県としても検討すること。
- 応益シェアは市町村で異なるから、納付金算定にあたっては、実態に即した割合を設定すること。
- 国保法44条、77条の制度の周知促進を図ること。
- 滞納対策は、単なる収納率の向上対策でなく、「滞納は貴重なSOSだ」「行政が手を差しのべるべき人」ととらえ、生活保護行政、生活困窮者支援事業と消費者行政促進事業と連携し、納税者が委縮しないような市町村の相談活動を支援すること。差し押さえ奨励金などは決して行わないこと。
- 地域の病院(診療科)の配置、文化風土などの背景により異なることから、単純な医療費抑制策を行わないこと。
- 方針に掲載しないで、「市町村と協議して決める」との記載が随所にあることから、市町村との協議の場は公開し、決まった方針は県のホームページに掲載すること。
- 介護保険制度にある保険料の境界措置制度を国保にも創設することを国に求めること。
以上