2019年 6月定例会などについての見解

2019年7月2日

日本共産党山形県議団
団長 渡辺ゆり子
関  徹

 2019年度山形県6月補正予算、震災関連追加補正予算案等が全会一致で可決・成立しました。県議団は最上小国川流水型ダム堤体工事費を増額する契約変更の1議案に反対し、残りの補正予算を含むすべての議案に賛成しました。全員賛成の場合は討論を行うことができないルールには問題を感じるところですが、会派として県民に対する説明責任を果たす立場から見解を表明します。

1)山形県沖を震源とする地震の影響について


 被害にあわれた方に心よりお見舞いを申し上げます。
 共産党県議団は、6月18日の山形県沖を震源とする地震の影響について、20日の高橋千鶴子衆議院議員の来県を含め、地元議員団と鶴岡市に現地調査を行ってきました。
 瓦屋根の破損、ブロック塀の倒壊等の被害が多く、修繕に関わる工事職人が不足し「修繕を断られた」「修繕工事のめどが立たない」との声も聞きました。修繕費用捻出に頭を抱える方や「どうすればいいのか見当もつかない」と途方に暮れる一人暮らしの高齢者もおられました。また、業者の方からは「店舗の酒瓶が割れた」「クリーニングの脱水機が壊れ、中古部品が届くのは1カ月半先。それまで休業」「ボイラーがつかなくなった。営業見合わせ(理髪店)」「スプリンクラーが誤作動し、水浸し(旅館)」など声が聴かれ、「キャンセルがでている。風評被害がある。すぐに再開をしたとの報道を」と不眠不休で復旧作業に打ち込む旅館経営者の姿も目の当たりにしました。
 県議団は、6月25日、被害実態把握の強化、災害関連法の適用、資力のない高齢者などへの県独自支援や風評被害対策などを求め、要望書を県に提出しました。
 7月1日現在で、住宅被害は半壊10棟、一部損壊750棟を超えるとの報道もあり、被害の拡がりが日に日に明らかになっています。
 県は、定例会最終日となる7月2日に、地震・降雹被害の補正予算を県議会に提出しました。早急な対応で評価します。内容も、被害があった温泉地域への宿泊割引制度の創設、瓦屋根などが破損した一部損壊家屋を念頭に、県と市で総額1億2000万円の瓦屋根修繕事業を創設しました。それぞれ県独自の対策として、踏み込んだものであり、有効な支援策になると考えます。
 一方で、瓦屋根修繕制度は、修繕費用の2割助成(最大40万円まで)となっています。瓦屋根の修繕費用は「ふき替え」では200万円になることもあります。資力のない高齢者などには、困難な課題とならざるをえません。県議団が提起した「廃棄物としての瓦は、期間を限定せず災害廃棄物として扱うこと」も重要です。
 そもそも、災害救助法・被災者生活再建支援制度の適用が限られるなど、国の制度が立ち遅れたものになっていることが問題です。
 県議団は、抜本的な解決を求めて引き続き、県・国に被災者の声を届け、対策を求めていきます。

2)6月補正予算について

 主なものは、慶応先端研関連の「バイオエコノミー」拠点形成における地方創生において、国の交付金を含めて11億3755万円(うち一般財源3億9275万円)の予算となっています。
 補正予算に賛成しましたが、交付金は自治体間の競争を煽り、選択と集中が前提となるもので、採択予定件数はわずか7件です。県は10年の事業計画のもと、5年間の支援期間後に自走を目指すとしていますが、県内企業への波及効果、県産業振興にどれだけつなげられるか不透明です。
 研究支援や事業化支援を否定するものではありませんが、慶応先端研関連にはこれまでも多額の支援を行ってきました。一方、当初予算において中小企業トータルサポート補助金は、約3億5千万円です。県内中小・小規模事業者の現状は、震災対応や消費税増税を前に厳しい状況で、その底上げこそ求められます。限られた予算の中でバランスを欠いた補正予算になっていることを指摘しておきます。
 

3)県議団長 渡辺ゆり子県議の予算特別委員会での質問について

 渡辺県議は6月21日予算特別委員会で「消費税増税の影響、中止について」「最低賃金を全国一律、早期に1000円」「最低賃金引上げ、中小・小規模業者に社会保険料の負担軽減を」「待機児童の解消、保育士の処遇改善を」「国民健康保険に1兆円の公費投入を 子どもの均等割り税の廃止」を求めました。
 知事は、消費税率10%引き上げについて明確な態度表明を避け、「行政の立場」として増税への対応策を講じる答弁に終始しました。最低賃金の全国一律については、「最低賃金のランク制度廃止、全国一律」を国に提案してきたと語り、中小・小規模業者支援については、「賃金引き上げによって経営に影響を受ける中小・小規模事業者への支援は本当に極めて重要。機会をとらえ、県内企業のお考えやご意見を伺いたい」との思いが表れた答弁を行いました。
 待機児童・保育士処遇改善の問題では、県は「待機児童が最も多い山形市では、保育士が確保できないことを理由の一つに挙げ、保育士不足への対応が喫緊の課題。要因は、他の産業または首都圏や近隣都市の保育士と比較して一般的に給与水準が低いこと。事務負担が増え業務が過密になっていること。加えて早朝や夕方遅くまでの勤務シフトなどの就業環境がある」と答弁。2017年度の県内卒業生の22.4%が他業種に就職し、10.1%が関東方面に流れていることを明らかにし「他県の先行事例の状況なども参考に、県内の保育士がいきいきと安心して働き続けられる環境づくりに取り組みたい」と前向きな答弁を行いました。渡辺県議の「県独自の配置基準で助成を」の提案には具体的な答弁はなかったものの、現状認識を共有することができました。
 国保の子どもの均等割りについて、県は、子どもの人数に応じて国から財源が来ても、子どもがいる家庭の均等割り軽減に「直接つながっていない」と認め、課題が浮き彫りになりました。

4)常任委員会・特別委員会での質問について

 渡辺県議は「山形県沖地震での観光、商工業被害への対応、事業者への支援(商工労働観光常任委員会)」「県営住宅の標準条例改正への対応(子ども育成若者定着支援対策特別委員会)」について質問しました。
 関県議は「山形県障がい者計画、災害廃棄物としての瓦リサイクル(厚生環境常任委員会)」「クロマグロ漁獲規制(産業振興・人材活用対策特別委員会)」について質問しました。

5)消費税増税中止を求める請願について

 10月消費税10%ストップ!山形県民ネットワークから出された「10月からの消費税増税中止を求める意見書の提出について」の請願と同様の内容の請願2件が、7月2日、本会議で採決され、賛成(共産・県政クラブ(国民・立憲・社民・無))10人、反対(自民・公明・県政クラブの一部・無)32人で、不採択になりました。
 2月定例会でも同様の請願が出され、共産のみ消費増税中止に賛成していましたが、今回、県政クラブの8人も賛成し、中止を求める声の広がりが反映していると言えます。

6)県議会における受動喫煙防止対策について

 健康増進法が7月1日施行となる中、県が国より進んだ形で、施設内全面禁煙に踏み切ったことは評価します。
 一方で、県議会は敷地内喫煙所を残しました。県議会のみ特別扱いに見られかねず、7月2日、県議会に県議会内全面禁煙を求める申し入れを行いました。

以上