2019年 9月定例会などについての見解

2019年10月4日

日本共産党山形県議団
団長 渡辺ゆり子
関  徹

 2019年度山形県9月補正予算等が全会一致で可決・成立しました。党県議団は補正予算を含むすべての議案に賛成しました。全員賛成の場合は討論を行うことができない「ルール」には問題を感じていますが、会派として県民に対する説明責任を果たす立場から見解を表明します。

1)9月補正予算について

 県は、住宅、酒蔵、旅館などで大きな被害が出た6月18日の地震に関連して、国の補助を活用し、被災した中小企業・小規模事業者への支援制度を創設(既存の県独自制度「中小企業スーパートータルサポ事業費」の拡充)しました。補助率2/3で60件7500万円を想定しています。先の議会で提案され成立した住宅損壊への支援と併せて党県議団も要望書や質疑で求めていたものであり、評価します。
 この間、主に鶴岡市の業者から「脱水機が壊れた(クリーニング店)」「園芸用の鉢が倒れ被害があった(園芸店)」などの様々な被害がよせられていました。被害に遭われたすべての方が有効に活用されることが求められます。

2)関県議の一般質問について

 9月20日に関県議は「日韓関係についての知事の所感について」「①被災者生活再建支援制度について ②避難所資機材について」「加齢性難聴の医療と難聴者支援について」「①高校での特別支援教育の充実②教育における『過度の競争主義の弊害』についての教育長の所感③田川地区高校再編と中高一貫校」について、知事、防災くらし安心部長、教育長に質問しました。
 日韓関係について知事は「現在、日本と韓国の政府同士では様々な課題があることは承知をしている。両国の関係は長い歴史の中でこれまでも様々な紆余曲折があった。このような時だからこそ、地域間や民間の交流をできるだけ活発に行い、相互の絆を強めていくことが大切」と答えました。安倍政権が振りまく反韓・嫌韓の流れにくみしない冷静な姿勢を評価します。
 今回の地震で多数の住宅被害があったことを念頭に、国の被災者生活再建支援制度の支援対象を一部損壊まで拡大することを求めることについて、知事は全国知事会の現状を踏まえて、「まずは‥半壊まで広げる事の実現」と述べました。千葉の被害の状況など引き続く災害の現状は、一部損壊から対象にすることを国に強く求めています。
 加齢性難聴者とその支援について知事は「難聴対策は大きな課題」との認識を示し、「政府や他の自治体の動向なども注視し、市町村など様々な関係者からのご意見をお聞きしながら、検討したい」と今後につながる答弁を行いました。 
 避難所の資機材の充実について防災くらし安心部長は「避難所の質の向上に努める」「市町村段階で進んでいる段ボール製品の供給に関する協定も締結に向けて検討する」との答弁を行いました。
 高校での特別支援教育充実について教育長は「特別支援教育支援員を必要性の高い学校に配置しているが、非常に重要であることから、引き続き国に地方財政措置の拡充を要望しながら、支援員の増員を検討する」と答弁しました。来年度予算で実施させるべく、関係者の方々と共に引き続き働きかけていきます。
 国連子どもの権利委員会が指摘している日本の教育の過度の競争主義の弊害についての受け止めについては「過度な競争が、様々な弊害をもたらす『可能性がある』」との認識で、「必要であれば競争も教育の選択肢の中に入る。発達段階に応じて、競い合う体験も必要」「全国的には過剰な競争と指摘されているような例もあるが、本県は子供の人間形成にとって好影響を与えるような多くの活動が展開されている」などとして、弊害を直視して改善を図ろうという姿勢は示しませんでした。

3)常任委員会・特別委員会での質問について

 渡辺県議は「消費税増税の影響で9月30日で閉店した食堂もでるなどと批判しました。インボイス制度は小規模業者を取引からは排除する仕組みと指摘した(商工労働観光常任委員会)」「ひとり親家庭支援制度の充実と児童扶養手当の現況届 (子ども育成若者定着支援対策特別委員会)」について質問しました。

 関県議は「国の医師需給検討会の動向と県修学資金制度等医師確保(厚生環境常任委員会)」「卸売市場条例の廃止について、改定法への反対の立場を表明、卸売場整備計画の終了の問題(産業振興・人材活用対策特別委員会)」について質問しました。

4)病院再編、統合病院名公表

 厚生労働省から、公立病院等の再編・統合に係る対象病院として、本県の7病院が公表されたことに関し、「病院リストラの促進を狙った厚労省の公表への抗議と、地域医療を守る対応を求める要望書」を県に10月4日、提出しました。

5)山形県議会会派自民党の「最低賃金」質問について

 9月19日、県議会の代表質問が行われ、最大会派の自民党から条件を付しながらも「最低賃金を一律にすべき」との質問がありました。
 共産党県議団は、6月定例会でも渡辺ゆり子県議が「せめて早期に1000円へと全国一律」について知事に質問していました。 
 最低賃金の全国一律化については、自民党会派も世論に動かされつつあります。

6)イージス・アショア調査について

 イージス・アショアの再調査が山形県内で行われることについて、選定された場合の対応を問われた知事は、9月10日の記者会見で「再調査自体は致し方ないと思った訳ですけれども、正直申し上げて、山形県内にもということには、意外というか驚いている。仮定の話にはこたえられないが、県内調査について、県民のみなさんがどう考えるか把握したい。県民の思いを大切にしたい」と述べました。
 イージス・アショアの配備をめぐって、関係県民等から、強大な出力を持つレーダーによる電磁波の影響や、迎撃ミサイルを発射した場合に演習場外の民間地にブースターが落下する危険、結果として、Iターン(移住者の受け入れ)などの町づくりを阻害する強い懸念の声が上がっていると聞きます。
 そもそも、防衛政策としての有効性、費用対効果があるのかどうかについても、防衛関係者からすら疑問の声が投げかけられています。 
 県としても、県民の暮らしの安心を守る立場から、導入計画と、本県での調査実施に反対することが求められています。
 党県議団は、アメリカの言いなりに、国民の安全を脅かすイージス・アショア配備計画に反対し、撤回を求めます。

以上