2020年 7月豪雨被害に関する要望
2020年8月20日
山形県知事 吉村美栄子 様
日本共産党山形県委員会
委員長 本間和也
日本共産党山形県議団
団長 渡辺ゆり子
関 徹
新型コロナウィルス対応とともに、7月豪雨災害対応に精励されていることに心より敬意を表します。
7月の豪雨により多くの被害が発生しました。県内を縦断する最上川では、各地で計画高水位を超過し、越水や溢水が発生しました。最上川から支流への逆流を防ぐために、樋門・水門を閉めたために内水被害が多発し、多数の家屋等に浸水し、農地の冠水被害も発生しました。
共産党県議団も各市町村で現地調査を行い、住民の方から被害実態や要望を伺いました。被害を受けた住民からは「橋の橋脚に流木がたまるので、対策をお願いしていたのにまた水が溢れた(山形市)」「大型排水ポンプを設置するように要望していたのに浸水した(山形市他)」「移動式ポンプがあるが小さくて役に立たなかった(山形市他)」などの声(※)が聴かれました。
県では毎年のように豪雨災害に見舞われていますが、以下の事項について当面の対策と長期的な抜本対策が取られるよう要望します。
1)被災者支援について
1.被災者生活再建支援法の適用を国に求めて下さい。全壊世帯に500万円、半壊世帯に支援金を支給するなど同法の更なる拡充、一刻も早い国会の開催を政府・国会に求めて下さい。
2.全壊・半壊に県災害見舞金の増額支給を行い、一部損壊に県独自の支援制度創設を行って下さい。財源は特別交付税措置などで国に求めて下さい。
3.市町村と連携し、避難所を人間らしい生活の維持とプライバシーが守られる住環境とするよう努めて下さい。特に高齢者・障がい者が避難生活を維持できるよう環境整備を重視してください。
2)河川の大臣管理区間について
4.大石田町豊田・大石田・横山、大蔵村白須賀地区などで計画を上回る洪水を想定した対策を検討して下さい。
5.河北町谷地の古佐川と最上川合流点の堤防が未整備です。国と県で早急にこの区間の堤防整備を行って下さい。
6.大規模に内水被害が発生した山形市志戸田・鮨洗地区、河北町田井・押切地区、大石田町横山地区の内水対策を強化し、至急実施して下さい。鶴岡市切添地区では、国・県・市などの関係者で内水被害を検討すること。
7.広範囲に浸水被害が発生した中山町の石子沢川の内水対策を国県町とともに強化して下さい。
8.内水対策は『地域によっては10年洪水規模の対策でもよい』とする『内水処理計画策定の手引き』(平成7年2月)を見直し、「原則として住宅地には30年洪水を浸水させない計画」に改訂するよう国に求めて下さい。
3) 県管理河川について
9.最上川からのバックウォーターが発生する古佐川(河北町)、五十沢川・朧気川(大石田)白水川(東根市)など、必要な区間の堤防嵩上げなどの対策を至急講じて下さい。
10.本沢川(山形市)の河川整備計画を至急作成して下さい。再三越水被害を出している、本沢川橋上下流の整備を急いで下さい。2級河川の整備基本方針、整備計画を整備して下さい。
11.銅山川(大蔵村)の肘折地区の護岸復旧工事は、早期に完成させて下さい。浸水被害対策を進めて下さい。
12.青龍寺川(鶴岡市・三川町)の湯野沢地区・青山地区の内水対策を検討して下さい。
13.県独自の排水ポンプ車の増強して下さい。
14.すべての県管理河川の支障木撤去、浚渫など、維持管理を継続的に徹底するようにして下さい。大臣管理区間の河川も同様に維持管理を徹底するよう要請するとともに、そのための国・県の予算確保を国に求めて下さい。
4)土砂災害、崖崩れ対策について
15.民有地の土砂崩れでは、県の対応に不満が出ています。現行法では急傾斜地・地すべり対策制度の対象とならない土砂崩れ等は、民有地の所有者が対応することになり、支援策が乏しいのが現状です。県独自に行うとしても維持管理費予算1000万円で行うこととなり、対応に柔軟性に欠けています。現行法で対応とならない小規模な土砂災害も予算を付け、県や市町村との連携強化で、住民が安心できるように柔軟に対応して下さい。また、国に制度拡充を求めて下さい。
16.急傾斜地指定になっている崖でも、予算不足から対策は遅々として進んでいないのが現状です。特別養護老人ホーム蓬仙園(上山市)の裏の崖は急傾斜地に指定されていますが、今回の雨で崖が崩れました。施設が3年後に移転予定とのこともあり、県は対策工事を躊躇する状況となっています。要配慮者施設の安全安心の確保の観点からも、対応策を早急に講じて下さい。
5)都市計画、下水道について
17.昨年、台風19号の被害を受け、国交省が呼びかけている市町村での「内水ハザードマップ」策定支援を促進して下さい。また、頻発化する豪雨災害に備えた都市計画・宅地開発における抜本的な浸水対策を支援して下さい。
6)中小業者、農林水産業支援について
18.小規模事業者が被災した場合でも事業が続けられるように、豪雨災害に対応した持続化給付金、税・保険料・公共料金の減免の追加実施を国に求めて下さい。
19.令和2年7月31日被災中小企業者等 支援策ガイドブックにある「なりわい再建補助金」の県の再建支援計画を早期に策定して下さい。
20.農林水産業が災害を機に廃業を余儀なくされることがないよう事業の再開に踏み出せる対策を実施して下さい。
21.農地の復旧対策や農業ハウス、農業用機械等の修理・再建に対する補助を速やかに実施して下さい。その際、被災事業者等の負担を軽減して下さい。
22.被害を受けた農業用施設(前川頭首工(鶴岡市)、三郷堰揚水機場(天童市)など)を早期に復旧し、農家負担を軽減して下さい。
以上
(参考)
※共産党県議団が現地調査を行い、聞き取った住民の声の主なものは以下の通りです。
「家が2m近く浸水し、田畑農機具も全滅、家ローンも残っているのに(農家・河北町)」
「事業所が浸水し5000万円を超える被害、移転先の家賃も高く、今後が不安(小規模零細業者・河北町)」
「家の裏が土砂崩れになり、県市にもお願いしたが対応してもらえない(山形市)」
「施設の裏山が崩れ県に対応をお願いしたがしてもらえない(上山市)」
「トマトをやめようかと思っている(農家・天童市)」
「避難所生活が1日だったからよかったけど、長期間だと年寄は固い床はつらい(中山町)」
「石子沢の排水ポンプが2時間止まったとメールがきた。おっかなかった(中山町)」
「出穂期で水が一番いるときに揚水施設が壊れた(農業団体・天童市)」
「コロナで3月以降仕事がないうえに事務所が水浸し(バス会社、大蔵村)」
「最上川の堤防の低いところから水が来た。観測所あるところだけ堤防が高いのはおかしい(住民、大蔵村白須賀)」